受ける目的は何?羊水検査で分かる5つの事
妊娠中の女性の一番の気がかりといえば、赤ちゃんが元気で健康に産まれてくるかどうかだと思います。
お腹の中にいる赤ちゃんに先天性の異常がないかどうか確認できるのが、出生前検査です。
出生前検査の中でも確定診断できる検査が、羊水検査です。
今回は、羊水検査では一体どういう事が分かるのか、その診断内容についてお伝えいたします。
1. 羊水検査は赤ちゃんの細胞を調べる検査
羊水検査では直接お腹に注射を挿して羊水を20ml程度採取します。
羊水とは胎児を包んでいる羊膜の中を満たす液体の事を指し、赤ちゃんは羊水の中に浮いている状態で成長していきます。
実は羊水には胎児の細胞やタンパク質が含まれています。
羊水検査ではこの細胞を採取して、研究室内で培養して増やし、赤ちゃんの細胞が正常な遺伝子を持っているのかどうかを調べます。
2. 羊水検査で染色体の数の異常が分かる
まず、羊水検査では染色体の数が正常であるかどうかが分かります。
染色体とは遺伝子がまとめられた本のようなものであり、赤ちゃんはお母さんから23本、お父さんから23本の2本1組となった染色体が合計23組46本受け継がれます。
しかし、細胞分裂の際などで異常が生じると、染色体が多くなったり少なくなったりしてしまうのです。
トリソミーと呼ばれる異常は染色体が3本1組になっており、21番目の染色体トリソミーはダウン症を発症させ、18番目や13番目の染色体トリソミーは約90%の確率で出生後1年以内に死亡してしまいます。
その他にも染色体が1本1組となってしまったモノソミーと呼ばれる異常もあります。
3. 羊水検査で染色体の構造の異常が分かる
羊水検査では、染色体の数だけではなく、染色体の構造の異常も発見できます。
染色体は1本に多数の遺伝情報が詰め込まれているのですが、分裂の際に支障が起きると、染色体の一部が異なる染色体の一部と入れ替わってしまったり(転座)、染色体の一部が欠けてしまいます(欠失)。
するとそこに書かれてあった遺伝情報が正常に機能できなくなります。
特に欠失が起きると重度の先天性異常が生じたり、心身の発達遅延が生じてしまいます。
4. 開放性神経管奇形のリスクが分かる
検査で採取した羊水の一部を使用して胎児のタンパク質量を調べる事も可能です。
特にAFPと呼ばれるタンパク質量を測定する事で、胎児が開放性神経管奇形を生じる可能性を調べる事ができます。
開放性神経管奇形とは、脊椎の一部が欠損する事で脊椎が開き、脊髄が飛び出した状態となってしまう開放性二分脊椎症や無脳症などの障害の事を指します。
二分脊椎症では高い確率で水頭症も併発してしまいます。
5. 遺伝性の病気の有無が分かる
その他にも、羊水検査では家系的に持っている遺伝子由来の疾患がないかどうかを調べられます。
また、超音波の検査で胎児に問題が確認された場合、より精度の高い診断材料として羊水検査が行われる事もあります。
いかがでしたか?羊水検査は確定診断とはいっても100%ではありません。
それは、胎児がモザイクといって正常な細胞と異常な細胞の両方を持っているケースもあるためです。
検査を受ける場合は、異常が発見された場合どのような対処をするのか、夫婦でしっかりと話し合っておくようにしましょう。