神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)とはなに?
赤ちゃんのかたちが作られる初めの段階で、脳や脊髄のもととなる神経管と呼ばれる部分がうまく作られることができず、きちんとした管の形にならないことが原因で起こる病気のことを神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)と呼んでいます。
妊娠していると、わかったときには神経管はすでに完成間近です。
ですので、厚生労働省も推奨している、妊娠計画中や妊娠する 4 週前から葉酸サプリメントを内服することがとても大切になります。
葉酸の情報が書かれている母子手帳をもらってから(9週目以降であることが多いため)では、遅いことが心配されています。
神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)の症状は、主に『二分脊椎(にぶんせきつい)』や『無脳症(むのうしょう)』として現れます。
神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)の主な原因として考えられる3つのポイント
1.栄養が原因
葉酸の摂取量の不足による栄養素不足
2.環境が原因
糖尿病、てんかん薬の内服などの持病、肥満、妊娠前期の高熱発作、放射線被爆、脂溶性ビタミンのビタミンA の過剰摂取などが上げられます。
3.遺伝子が原因
妊娠前から葉酸サプリメントを必要な量摂っていると、発生リスクは50〜70%低減できます。残る30〜50%は遺伝子異常が原因の種であり、予防が難しいと言われています。
二分脊椎(にぶんせきつい)とは?
神経管の下の部分で閉鎖障害が発生した場合は『二分脊椎』が現れます。
脊髄の一部が、作られなかった状態を言います。
作られなかったことにより、脊椎の背中側の骨が一部開いてしまい、脊髄などの神経組織が背中に出てしまう、『開放性二分脊椎(脊髄髄膜瘤)』と、骨の開いている部分が正常な皮膚におおわれて、隠れている『潜在性二分脊椎』に分かれます。
脳からの指令が、下側まで伝わらないので、重い場合は下半身の神経が麻痺します。
歩行障害の出たり、下腹部の筋肉が麻痺して排尿・排便障害が起こることもあります。脊髄のどこが作られていないかにより症状も変わります。
二分脊椎児は、多くの場合、生涯障害を持っています。 彼らは、生きて行く上で多くの手術が必要な場合があります。
葉酸の効果があるのは、『開放性二分脊椎(脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう))』と『無脳症(むのうしょう)』になります。
下記以降、『開放性二分脊椎(脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう))』を二分脊椎と書きます。
無脳症(むのうしょう)とは?
神経管の上の部分で閉鎖障害が発生した場合『無脳症』が現れます。
神経管が塞がっていて、脳が正常に作られず、胎児が成長しても脳の大部分が作られずに無い状態になります。
脳以外の臓器は正常な場合がほとんどで、胎児の一時期は成長を続けることができます。
しかし、、脳が作られていないことで、長く生きていくことができないために、途中で流産や死産となります。生まれても、出生直後に死亡します。
二分脊椎の発生頻度
この25年間で二分脊椎症の先天異常は2倍になっています。(出生10000人あたり 4.8 人)
無脳症の発生頻度
無脳症は、減少傾向にあります。
出典:環境省 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
http://www.env.go.jp/chemi/ceh/outline/data/toukeishu/2013toukeishu_02.pdf
神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)は超音波検査(エコー)でわかるの?
神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)は、妊婦健診の超音波(エコー)検査で分かります。
無脳症の場合、赤ちゃんの頭部が映らない、欠けているように見える場合は神経管閉鎖障害の疑いとなります。血液検査や羊水検査で判定が確定されます。
二分脊椎は、4ヶ月以降に疑いがもたれるようになり、羊水検査の染色体異常で判定が確定されます。